「忍」の精神に刻まれた心得
三大忍術伝書の「万川集海」には、忍者の心構えとして「仁義忠信」という言葉が記されています。他者を思いやり(仁)、道徳を重んじて(義)、人に尽くし(忠)、人を欺かない(信)。さまざまなスパイ活動を行う忍者だからこそ、この四つが正しき道を進む上で必要不可欠とされたのです。
また、「忍」という字は「刃」の下に「心」と書きます。どのような状況であっても、忍耐の心と冷静さを忘れてはならないという、忍者の精神が体現されたような字です。この精神を体得するため、忍者は辛く苦しい修行を重ね己を磨き続けました。
忍術は国のために使うべし
「万川州海」には、「忍びの方術は私欲のためのものではなく、また無道の君主のために謀計を企ててはいけない」という言葉が記されています。私利私欲ではなく、国にとって正しい行いを選択することで、任務で素晴らしい成果を得られるのだと忍者を戒めています。
秘密を守るべし
忍者は常に情報収集を怠りません。必要に応じて、任務では素性を偽り敵地へと潜入します。こうした任務において、忍者は仲間からだけでなく、敵からの信頼をも得なくてはいけません。見聞きした秘密を守り抜くことは、忍者にとって信頼される絶対条件でした。
忍者であると気づかれぬようにすべし
忍者は常に、自分の正体を隠し続けなくてはなりません。正体がバレれば、自分のみならず仲間や領主領民、国が危機に陥ってしまうからです。そのため、忍者は暗殺術や暗号術のみならず、政治経済・文化芸術など日常生活で必要なあらゆる知識に精通していました。